今週兵庫県伊丹市であったアナ・ヴィドヴィチさんのクラシックギター・コン
サートに行きました。ホールは500人ほどの小ホールで、マイクなしでした。
アナ・ヴィドヴィチさんについて、7年半前に高速演奏家としてブログで紹介
したことがあります。昔はアストリアスという曲を5分余りで弾いていました。
ギターの巨匠アンドレス・セゴビアは7分20秒かけています。最近のアナ・
ヴィドヴィチさんの演奏時間を測りますと、6分40秒と遅くなっています。
私は以前のブログで
「難しい曲をいとも簡単に速く弾くテクニックがあって、その上に素晴らしい
表現力を持っているので、多くの聴衆を魅了するのでしょう。一般に演奏家
は、熟年になれば歳を経るごとに演奏テンポが遅くなると言われています。
・・・・今後歳を重ねて、どのような演奏スタイルに変わっていくのか興味が
あります」
と書きました。最近の彼女は早くも円熟味を発揮してきたのでしょうか?
彼女は何年か前にグレッグ・スモールマン製作のギターを使うようになりま
した。このギターは、表面板の厚みが1mm(ふつうは2mm以上)で、その
裏に貼り付ける細い木が格子形状をしたギターです。小さな音から大音量
まで出るギターです。ゆっくり間を持たせる演奏スタイルに変わってきたの
は、このギターに因るところがあるのかも知れません。
この日も大音量と小さな音を効果的に使い分けて、また曲の途中のフレー
ズの区切りは充分な間を持たせるなど、素晴らしいテクニックでした。
プログラムは、バッハからピアソラまで何でも弾くよ といった感じの構成で
した。私はピアソラをどのように弾くのか期待したのですが、バンドネオンを
主とする原曲に比べて、マイク無しのギターではちょっと迫力に欠けるよう
に聴こえました。バッハ(バルエコ編)無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番
BWV1001は、素晴らしい演奏でした。